まさかの化学編。できることもあるし、できないこともある。
MathJaxの使い方〈化学編〉
公開日:2014年10月16日
更新日:2017年5月8日
執筆時点のバージョン:MathJax v2.7.1
■目次
- 化学はどうする?
- mhchemでできること
- まずは化学式
- さらに化学反応式
- 他にもまだある
- 関連リンク集
化学はどうする?
前回〈基本編〉に続く〈化学編〉は、MathJaxで化学式(化学反応式)をタイプセットしようというニッチな内容です。
深く考えなくても数式モードで書けるとはいえ、せっかくそのためのエクステンションがあるので、使ってみてはどうでしょうか? いくらか便利になります。
使用するのはmhchemエクステンションです。LaTeX用のmhchemパッケージを移植したものと思われます。(未確認
このエクステンションはオプション品扱いなので、明示的に指定することで有効化しておきます。
[2017年5月8日変更]MathJax CDN(公式)廃止につき、リンクURLを変更。また、matchFontHeightの設定を追加しました。
<script type="text/x-mathjax-config"> MathJax.Hub.Config({ tex2jax: { inlineMath: [ ['$','$'], ['\\(','\\)'] ], processEscapes: true }, TeX: { extensions: ["mhchem.js"] }, CommonHTML: { matchFontHeight: false } }); <script type="text/javascript" async src="https://cdnjs.cloudflare.com/ajax/libs/mathjax/2.7.1/MathJax.js?config=TeX-AMS_CHTML"> </script>
mhchemでできること
まずは化学式
「H_3PO_4のように化学式を書くのは、ゲシュタルト原理に反していて直感的じゃない。意味的な区切り[H_3][P][O_4]と、見た目の区切り[H]_[3PO]_[4]が食い違っている。むしろ、H3PO4と書くようにした方が自然だ。」
という発想を出発点として、さらに化学量論係数や電荷符号などを自動で整形してくれる優れものです。
$\ce{H2O}$ | $\ce{H2O}$ |
$\ce{Na2CO3}$ | $\ce{Na2CO3}$ |
$\ce{Mg(OH)2}$ | $\ce{Mg(OH)2}$ |
$\ce{H+}$ | $\ce{H+}$ |
$\ce{NH4+}$ | $\ce{NH4+}$ |
$\ce{CrO4^2-}$ | $\ce{CrO4^2-}$ |
$\ce{[Cu(NH3)4]^2+}$ | $\ce{[Cu(NH3)4]^2+}$ |
$\ce{CoCl2.6H2O}$ | $\ce{CoCl2.6H2O}$ |
$\ce{^{12}C}$ | $\ce{^{12}C}$ |
$\ce{^{239}_{94}Pu}$ | $\ce{^{239}_{94}Pu}$ |
さらに化学反応式
半角スペースで離した+
は、正電荷ではなく化学反応式のプラスを表すようになります。
$\ce{CO2 + C -> 2CO}$ | $\ce{CO2 + C -> 2CO}$ |
$\ce{CO2 + C <- 2CO}$ | $\ce{CO2 + C <- 2CO}$ |
$\ce{NO + 1/2O2 -> NO2}$ | $\ce{NO + 1/2O2 -> NO2}$ |
$\ce{N2 + 3H2 <=> 2NH3}$ | $\ce{N2 + 3H2 <=> 2NH3}$ |
半角スペースで離したv
と^
は、それぞれ沈殿と気体発生を表す矢印になります。
$\ce{Ag+ + Cl- -> AgCl v}$ | $\ce{Ag+ + Cl- -> AgCl v}$ |
$\ce{2H+ + 2e- -> H2 ^}$ | $\ce{2H+ + 2e- -> H2 ^}$ |
他にもまだある
化学結合(単結合、二重結合、三重結合)と分子内の電荷は次の通り。複雑な有機分子は厳しい……。
$\ce{C2H5-OH}$ | $\ce{C2H5-OH}$ |
$\ce{CH3CH=CH2}$ | $\ce{CH3CH=CH2}$ |
$\ce{HC#CH}$ | $\ce{HC#CH}$ |
$\ce{C^{-}#O^{+}}$ | $\ce{C^{-}#O^{+}}$ |
横向きの矢印に反応条件や注釈を書き入れるには、->[...]
(上)または->[...][...]
(上下)のようにします。
頭にC
をつけた場合はmhchemモード([\ce{...}]
と同じ)、T
をつけた場合はテキストモード([\text{...}]
と同じ)です。
$\ce{CaCO3 ->[900\,{}^{\circ}\mathrm{C}] CaO + CO2}$ | $\ce{CaCO3 ->[900\,{}^{\circ}\mathrm{C}] CaO + CO2}$ |
$\ce{2H2O2 ->C[MnO2] 2H2O + O2}$ | $\ce{2H2O2 ->C[MnO2] 2H2O + O2}$ |
$\ce{H2PO4- <=>C[OH-][H+] H+ + HPO4^2-}$ | $\ce{H2PO4- <=>C[OH-][H+] H+ + HPO4^2-}$ |
関連リンク集
- Documentation for mhchem(PDF注意)
- TeXによる化学組版(doraTeX氏の記事、前半にmhchemパッケージの解説)